あなたはどのタイプ? 脾胃虚弱、胃の消化機能低下タイプ編

これまで色々なブログで東洋医学の診断方法や体質についてご紹介してきましたが、皆様にもっと簡潔にわかりやすくできたらと思い、ざっくりですが、10パターンの身体の不調のタイプに分けてみました。
もちろん、これだけが原因ということはありませんし、複合することもよくあります。
まずはご自身のタイプを知ると

・痛みや不調の軽減

・痛みや不調の予防

・今後起こるかもしれない痛みや不調の防止(未病治)

などが期待できるようになります。

今回は「脾胃虚弱、胃の消化機能低下タイプ」についてご紹介していきます。

脾胃虚弱、胃の消化機能低下タイプとは?

このタイプは、消化機能が落ちて、身体のエネルギーを作ることができなくなり、元気がなくなります。
それと共に身体の軸がぶれるようになるため、股関節や肩甲骨の動きが悪くなり、更には天候への対応力など、
身体の内にも外にも影響することがあるタイプです。

「脾(ひ)」とは五臓六腑のうちの五臓の一つで、現代医学では消化器全般を表しています。
五臓六腑の六腑にも「胃」がありますが、こちらが現代医学の胃にあたり、主に食べ物の消化機能を担います。
「脾」は消化器全般ということもあり、食べ物の消化だけではなく、
消化したものを身体に取り込みやすいようにしたり、
それを吸収して、生命活動につなげる、
というはたらきをしているのが、脾の機能になります。
最近良く耳にする「腸内細菌」も消化と吸収に関係するので「脾」に該当します。

胃と脾はどちらかの機能に異常が出ると、お互いに機能が落ちてしまうので、
生命活動を維持する上で切っても切れない関係とも言えます。
そのため、「脾胃」というユニット名で表記されることがよくあります。

脾胃が弱くなると以下のような箇所に反応が出易くなります↓

  • お腹、骨盤周りの冷え
    →腸内環境が崩れると体温が下がりやすくなり、特にお腹周りや骨盤周りなど皮膚の厚い箇所が冷えてきます。
  • 左胸椎10〜12番(背中の真ん中より少し下辺り)、左肋骨下、臍周囲の硬さ
    →これらは全て糖の過剰摂取による反応点です。左胸椎10〜12番、左肋骨下は糖を分解している膵臓の反応、
    臍周囲は副腎という腎臓の上にのっかているホルモンを分泌している器官です。
    この副腎からも糖に関係する(血糖値を上げたりするなど)ホルモンが分泌されているので、反応が出ます。
  • 首の前面、右下腹部の硬さ(普段からの痛みや、圧痛があるときもあります)
    →これらは扁桃腺の反応です。
    後述しますが、腸内の悪玉菌が糖をエサに増殖すると、右の下腹部(盲腸)に反応が出ます。
    それに伴い喉の扁桃腺の機能も低下するので、首の前面である喉の扁桃腺の反応も反応が出やすくなります。

脾胃が弱くなることで影響する身体の不調とは?

肩甲骨と骨盤の連動がうまくいかなくなる

肩甲骨と骨盤は下のイラストのように連動しています。
詳細は割愛しますが、ヒトの進化の過程で、爬虫類だった頃の四つ足歩行の名残と言われています。
その四つ足歩行の要になっていたのが第11、12胸椎。
ここを中心として肩甲骨と骨盤が連動していたのです。
そして第11、12胸椎の真裏にある胃がその安定性を支える上で重要な働きをしています。
つまり、胃の不調は第11、12胸椎の不安定さを招き、肩甲骨と骨盤の連動を妨げる一因になってしまいます。

天候や季節などの変化に影響され易くなる

現代医学ではこれを自律神経が機能していないために起こる症状としています。
つまりは自律神経失調症の症状の一つということです。

では、そもそも自律神経失調症の定義は何かというと、定義はないのだそうです。
天候や環境などが原因で、本人が自覚している不調を自律神経失調症としているようで、医学的な所見で確定診断があることは少ないようです。

東洋医学では、自律神経失調症を「身体と自然との不調和」としています。

地球には太陽や月の引力があります。
この引力は潮の満ち引きなど地球上に様々な影響を及ぼしていて、

それは人の身体にも影響していると言われています。

しかし、人にも太陽や月と同じように引力があり、綱引きをするように、太陽や月の引力に対抗して、自身の体調を保っています。その引力に対抗しているのが自律神経ということです。

そしてこの引力があるのかないのかは胃や消化器の力の有無ととても関係があります。

東洋医学ではこれも「脾(ひ)」が担っているとされていて、この「脾」の機能が正常であれば、自律神経のはたらきも正常に機能し、健康を保つことができます。
しかし、「脾」の機能が落ちてしまうと綱引きに負けてしまい、自律神経が乱れ、天候や季節の変化に影響され易くなり、ストレスにも弱くなってしまいます。

脾胃が弱くなってしまう原因とは?

胃は食べたものを胃酸で溶かし、ミキサーのように動かして消化します。腸はその消化されたものの中から栄養素を吸収して、余分なものは排出するはたらきがあります。
胃も腸も食べ物や消化されたものが入ってくると反射的に働くように出来ていて、
それは自律神経の迷走神経の働きによるものです。
迷走神経は脳神経の一つなので、

・ストレス
・身体の冷え
・糖質過多

などが原因でその働きが鈍くなり、機能である脾と胃そのものが弱くなってしまいます。

特に原因として気をつけておきたいのが糖質過多です。
糖質は腸内の悪玉の餌になります。
腸内には「真菌」というカビの一種のようなものも存在しており、その真菌は糖を餌に腸内で繁殖します。
つまり糖を摂り過ぎてしまうと、腸内にカビが生えてしまう、とも言え、その反応が最初のイラストの右腹部のエリアに出てきます。
この反応と左の膵臓、また腎臓のエリアである臍の周りに反応がある場合、明らかに糖が多くなっている状態と言えます。

それにより、腸内環境が悪くなり、

  • 腸内の善玉菌の減少
  • 免疫細胞が生成されにくくなる
  • 腸内にガスが発生しやすくなる
  • アレルギーが発症しやすくなる
  • 自己免疫疾患の原因となる可能性がある

などの現象も起こりやすくなります。

また、腸内環境が悪くなると、それを促進させる食べ物を食べたくなるようになり、糖質や脂質を多く含むものを食べるようになり、結果糖質過多になるという悪循環が起こってしまいます。

実は東洋医学においても腸内環境と糖質は深い関係があると考えられています。
腸や消化器系はこのブログでも良く出てくる「脾(ひ)」に該当します。
東洋医学では「五味(ごみ)」という、その味覚のものを摂りすぎると痛めやすい臓器があるとされていて、
「脾(ひ)」の五味は「甘(かん)」であるとされています。これは甘いものを表しています。

食べ過ぎによる不調

食べ過ぎによる脾や胃の機能低下による不調もあります。
その場合、「地機」というふくらはぎにあるツボに反応が出やすいです。
このツボは普段は点ほどの大きさで押しても痛みや塊のような感触はないのですが、食べ過ぎなどで胃腸に負担があるとごろごろと痛みを伴う塊のような感触になります。
この反応は特に左側に出やすく、右側にもある場合は慢性的な胃の疲れや食べ過ぎが考えられます。

また、「地機」の下には動脈や静脈、リンパ管なども通っているため、そこに塊ができるとそれらの循環が鈍くなるため、足のむくみや足がつってしまうなどの原因にもなります。

脾胃虚弱、胃の消化機能低下タイプにおすすめのセルフケア

胃腸が疲れているので、食べる量を少なく、消化の良いものを摂ること

食欲のない場合はお粥やお豆腐などがおすすめです。
食欲はあるが、食べた後に具合が悪くなる場合は、火の通った和食を摂るように心がけましょう。
慢性的に先程の「地機」が腫れぼったい方もいますが、この場合は普段からも食べ過ぎな傾向があるので、一日の摂取量から見直すことも必要になってきます。

腸内環境を整える

・腸内の温度を下げないように温かい飲食物を摂ること

腸内の温度は40℃近く、そして善玉菌が活発になるのも同じ温度と言われています。
対して悪玉菌が好きな温度は30℃未満の低い温度。
実は冷え冷えの350mlビール1本を飲むと腸内の免疫の80%は停止してしまうとも言われています。
それだけ、腸内の細菌は温度に敏感なので、腸内が冷えないような飲食を心がけましょう。

糖を少なくする」ことからスタートする

腸内環境を整える食べ物はいろいろ紹介されていますが、
まずは、腸内の悪玉菌を多くしないことが先決なので、
糖は身体のエネルギー源となるので、大事な栄養素であるのは変わりませんが、
適量なのは日々の食事で摂る3食分のお米の量で十分のようです。
それ以外は余剰になってしまいます。
また、パンや麺類なども主食になりますが、
より消化に良いのはお米なので、できる限りお米を摂るようにしましょう。

それ以外の余剰分となる糖質をいきなりなくすのはなかなか難しいので、
まずは半分にするとこから始めてみましょう。
そこから慣れてきたらもう半分減らす、というように徐々に減らしていきます。

どうしても食べたくなってしまった時は、
100%のはちみつやメープルシロップ(スプーン2杯分くらい)、
ドライフルーツやさつまいもなどの芋類、
果物ではりんごなどは、
腸内細菌は分解しやすいと言われているので、それらで代用しましょう。

当院でよくおすすめしているのが焼きりんごです。
1/2から1/4にしたりんごを、オーブンやトースターなどで焼いて、ヨーグルトとはちみつやメープルシロップをかけます。
分解しやすい糖分なので、腸内環境にも良くおいしく食べられると思います。