身体はそれぞれの箇所が独立して動いているのではなく、連動して動いています。
しかし、動きが悪くなる時もこの連動が作用してしまいます。
例えば、以前紹介したように、眼精疲労から股関節の不調、喉の腫れから骨盤の歪み(↓から詳細がご覧になれます)というように痛みや不調があるところとは一見関係なさそうなところが原因となり、連動が上手くいかなくなることも多くあります。
今回は日常で必ず行うある行為が、足の付け根であるソケイ部に影響し、様々な身体の痛みや不調に繋がるメカニズムについてご紹介していきます。
必ず行うある行為とは?
日常的に必ず行うある行為とは「咀嚼(そしゃく)」です。
咀嚼とは食事での「噛む」動作のことをいいます。
この「噛む」という動作がどのようにソケイ部に影響するかというと、左右両方の顎を均等に使わず、片方の顎を無意識に使ってしまう「片咀嚼(へんそしゃく)」をすることで、ソケイ部に影響すると言われています。

なぜ片咀嚼がソケイ部に影響する?またその他にも影響が?
この「片咀嚼」がソケイ部にどのように影響を及ぼすのかというと、
噛む時に使う「咬筋(こうきん)」という顎を動かす筋肉に、よく使う側とあまり使わない側の筋収縮の左右差が生じることで影響を及ぼすようになります。
それにより咬筋だけでなく、同じ側の首から肩の筋肉、横の腹筋(腹斜筋)にも筋収縮の左右差が起こり、身体がくの字のように歪んでしまいます。
また、腹斜筋は上から下へ斜めに走行して、ソケイ部では「ソケイ靭帯」として機能しています。
腹斜筋自体が硬くなると、ソケイ靭帯に圧縮するような力が加わり、ソケイ部の運動を制限したり、股関節を動きにくくするなどの影響が出てしまいます。

片咀嚼の影響は筋肉などの身体の外側だけでなく、胃などの身体の内側にも影響を及ぼします。
通常、両方の顎を使って食べたものを口の中で胃が消化しやすいようにするのですが、
片側だけでは胃で消化しやすくなるほど細かくできないので、その分、胃に負担をかけてしまい、消化不良や胃もたれなどの原因にもなります。
また、東洋医学では胃などの消化器は「脾(ひ)」に属し、身体の中心を担うとされています。
つまり、胃は身体の軸も担っているとも言えるわけです。

その身体の軸がぶれてしまうと、シーソーの支点が壊れてしまうことになるので、胃などの消化器の機能が落ちることが再び股関節やソケイ部にも影響するという悪循環になってしまうこともあるのです。
片咀嚼をしているかどうかのチェックポイント
食べている時にしっかり左右の顎を使って食べているかチェックするのが一番わかりやすいですが、
身体にもそのサインが出ていることがよくあります。
例えば、寝るときに横向きの方が寝やすい、という場合は片噛みをしているサインになることもあります。
これは先ほども書いたように片咀嚼をしていると身体がくの字のようになるので、
収縮している側(片咀嚼している側)を下にしていた方が楽に感じるため、横向きで寝やすくなります。
その他にも、咬筋を軽く押すと痛みがあったり、鼠径(ソケイ)靭帯にも軽く押すと痛みが出るなどの反応が出ることもあります。
また、よく耳にするのが、歯を治療していた時期があり、治療している側の歯を使わないようにと言われ、治療期間中に片咀嚼の癖が知らないうちについてしまっていた、ということよくあります。
不調が出る前に歯の治療をしていた、という方はその可能性があるかもしれません。
咀嚼方法を左右均等にするには?
これも食事中に意識するのが良いのですが、
食事中に意識しながらはとても大変ですし、食べることに集中したいですよね。。
実は私も勉強会などでモデルをした時に、片咀嚼してるでしょ、と指摘された時期がありました。
その時教わったのが、
粒タイプのガムを2つ用意して、左右の奥歯に一つづつ入れて、左右同時に噛むようにする、
ということでした。
やってみるとなかなか難しく、意識していないと片噛みしている側で左右にあるはずのガムが合わさってしまいます。
しかし、これも慣れなので、通勤中などの隙間時間にこれを意識して行なっていたら、片咀嚼がなくなっていました。
それまでは左下にして寝ていたのが、仰向けの方が楽に感じるようになり、咬筋の痛みもあったり、顎関節症にもなったりしていたのですが、それ以降なくなりました。
(その後も勉強会のモデルをした時に、片咀嚼よくなってるね、とも言われるようになりました。)
もし、股関節や片側の足の不調で悩んでいる…という場合には、今回ご紹介した片咀嚼の影響が隠れていることもあります。
また、それ以外の原因もあり、それにより片咀嚼になってしまう、ということもよくあります。
チェックポイントがいくつか当てはまり、股関節や片側の足の不調、もしくは顎関節そのものに不調などがありましたら、原因から施術していくことで、より早くその不調や痛みから抜け出せるようになります。
ご相談だけでも構いませんので、遠慮なくご連絡くださいね。