当院では西洋医学的な検査方法も行いますが、メインは腹診や脈診といった東洋医学に基づく検査方法を用いて診断をしています。
ですが、施術を受けている患者さんからしてみると、何を診られているのか、どんなことを考えているのかなど疑問に思うことがたくさんあるかと思います。
そこで診断を行ううえで基礎となる東洋医学の考え方、今回は「相生・相克関係」についてご紹介します。
相生・相克関係
東洋医学では、全てのものは木・火・土・金・水でできていて、人体もまた同じであるという考え方があります。
これは人体にも当てはまるとされていて,人体を作っているもの,例えば
木は肝臓(肝)
火は心臓(心)
土は消化器系(脾)
金は肺臓(肺)
水は腎臓(腎)
から作られているとされています。またその働きも自然界と同じと考えられています。
自然と同様にこれらの要素は単独で働いているのではなく、
お互いを生み出し、お互いを削ぐような関係でいます。例えば、
木は火を生み出し、
火は土を作る、
土から金(ここでは金属よりも原子や分子、イオンなどの方がイメージしやすいかもしれません)ができて,
金から水(水の分子)を作る
というようなお互いを生み出す関係を「相生関係」と言います。
これとは反対に、
金(ここでは金属の方がイメージしやすいと思います)は木を切り倒し、
木は土の養分を奪い、
土は水を吸い取り、
水は火を消し、
火は金(金属)を溶かす、
というようなお互いを増えすぎないように削り取るような関係を「相克関係」と言います。
「相生・相克関係」をどのように施術に取り入れている??
相生関係
例えば何らかの影響で肺が弱ってしまった時は、
肺(金)を生み出す消化器(土)を強くすると、肺は力を取り戻し元気になります。
これは喘息などの治療でよく使いますが、足の消化器系(脾経)のツボである陰陵泉(いんりょうせん)と肺のツボである尺沢(しゃくたく)を組み合わすことで肺を元気にさせます。
相克関係
消化器系の症状(例えば血液の滞りが原因となる腹痛や消化不良など)があるときは,
肝臓(木)の力が強すぎたことが原因になることもあるため,
肝臓と相克関係にある肺(金)のツボを使って肝臓の力を抑え、消化器系の回復を試みます。
これは腕にある肺の尺沢というツボと足にある肝臓の水に関係する曲泉(きょくせん)というツボを組み合わせることで消化器系を元気にさせます。
※五臓六腑はそれぞれの経絡を持っていて、その経絡の中にそれぞれ違う五臓六腑と繋がれるツボを持っています。
電車の路線図のようなイメージで、その駅(ツボ)から違う路線の電車(別の経絡)に乗り換えるような感じです。
これについてはまた詳しくブログで紹介出来たらと思います。
今の時点では、「へえーそうなんだ」くらいでOKです。
相克関係が崩れて起きるよく聞く症状
また、相克関係のバランスが崩れることにより、起こる症状もあります。
代表的なのが更年期障害です。
更年期障害は「水」と「火」の相克関係が崩れてしまい起こる現象です。
というのも、「水」は下降する性質、「火」は上昇する性質があり、お互いに度が過ぎないようにうまく足の引っ張り合いをすることで、熱を分離させずに体温を保っています。
しかし、「水」(腎と関係があり、年齢やそれによるホルモンバランスなどにも影響する)の力が弱まると、「火」は上昇しホットフラッシュや頭痛、イライラなどの熱症状が現れ、「水」が下降すると足のむくみや冷え、力が入りづらくなるなどの冷えの症状が現れるようになります。
火にあたる「心」と水の「腎」の交通が不十分になることから「心腎不交(しんじんふこう)」といい、東洋医学では更年期障害をこのように説明しています。
詳しくはこちらからご覧になれます↓
長々と不慣れな言葉を使いながらの紹介となってしまいましたが、
何となく「そんなことを診ていたのか」と思っていただければ幸いです。
今回ご紹介したのもまだまだ概論のようなものなのでまた機会があればご紹介して行けたらと思っています。
また、実際に施術を受けている時に今はどんな状態なのか、どんな施術をしているのかなど聞いていただいても構いません。
東洋医学に基づく施術は根本的な身体の改善に繋がる施術になります。
「根本的に身体を変えて、痛みや不調を何とかしたい!」
という方は是非一度当院にご相談ください。