東洋医学の診断方法 身体を構成する気・血・津液

当院では西洋医学的な検査方法も行いますが、メインは腹診や脈診といった東洋医学に基づく検査方法を用いて診断をしています。
ですが、施術を受けている患者さんからしてみると、何を診られているのか、どんなことを考えているのかなど疑問に思うことがたくさんあるかと思います。
そこで診断を行ううえで基礎となる東洋医学の考え方、今回は「身体を構成する気・血・津液」についてご紹介します。

気・血・津液のはたらきとは??

人体にはこの3つの作用により、生命維持がなされていると考えられています。
これらはそれぞれ五臓から生み出されています。
五臓六腑と同様、体質や状況、習慣や遺伝などにより、そのはたらきの強弱のバランスを上手くとることで、心身の健康を保っています。
またそれが何らかの影響で行きすぎて病気や体調を壊すこともあります。

この3つの要素では「気」が一番大きく、その次に「血」そして「津液」と続きます。
「気」が大きな歯車となり、「血」と「津液」を動かしているイメージです。
この時に「気」が「血」、「津液」を動かすことを推動作用といいます。

また、この「気」が上記で述べたような「実」や「虚」の状態になると、

「実」では気が多くなり過ぎ、鬱滞する(気滞)
「虚」では気が少なくなり過ぎ、回らなくなる(気虚)

というそれぞれの異常を起こします。

「気」の状態をチェックするのは主に脈診の時に判断します。
そして施術ではまず最初にこの「気」から整えます。
そうすることで、「血」と「津液」も動いて、その後の施術の行程を少なくすることが出来、それは患者さんの回復をより促すことにも繋がるからです。

「足三里(あしさんり)のお灸は注意??


「気」の中でも一番大きな気を生み出すのは胃からの気で、これを「胃の気」といいます。
これは、食べたものを消化して生成される気なので、毎日定期的に生成されるため、身体の中で一番大きな気になります。
よく「足三里(あしさんり)」というツボにお灸などをすると良い、ということを聞いたことがある方もいるかと思います。

この「足三里」は「胃の気」を補うツボになります。

食べ物を選んだり、3食しっかり食べることのできなかった時代では、足三里にお灸をすることで、食べること以外で胃の気を補っていたようです。
そのため、「足三里にお灸をすると身体に良い」というのが広まったのです。

ですが、現代では好きなものを毎日食べることが出来たり、お腹いっぱいまで食べることが多くなるなど、何かと食べることが昔に比べて多くなっています(よく現代は豊食の時代とも言われますよね)。
そのため、現代の人は割と胃の気がしっかりしていたり、胃の気が多くなり過ぎて、先程の「気滞」となっていることが多くなっています。

この状態で「足三里」にお灸をすると、余計に胃の気が増え、更に「気滞」を進めてしまうことになるので、
「足三里」は現代の人には不向きになることがよくあります。

この場合、胃の気の鬱滞を取るために「解渓(かいけい)」というツボや、「足三里」を先程のような補う「補法」ではなく削り取る「瀉法(しゃほう)」により、鬱滞をとると、気がスムーズになることがよくあります。

「血」や「津液」の増減もある


また上記のように「血」や「津液」も多くなったり、少なくなったりもします。

「血」が多くなり過ぎると、「瘀血(おけつ)」
少なくなり過ぎると「血虚(けっきょ)」といい、

「津液」が多くなり過ぎると、「痰飲(たんいん)」
少なくなり過ぎると、「陰虚(いんきょ)」といいます。

これらは身体のサインよりも症状として現れることが多く、例えば
「血虚」は身体の冷え、めまい、眼精疲労、生理不順など
「痰飲」はむくみ、胃内停水(お腹がチャプチャプする)、口の中が粘るなど
「陰虚」は手足の火照り、のぼせやすい、イライラ、乾燥するなど
というように症状として現れます。
また、瘀血は腹診時にもサインとして左の下腹部など様々な箇所に現れます。
詳しくはこちらからご覧になれますので、チェックしてみてください↓

長々と不慣れな言葉を使いながらの紹介となってしまいましたが、
何となく「そんなことを診ていたのか」と思っていただければ幸いです。
今回ご紹介したのもまだまだ概論のようなものなのでまた機会があればご紹介して行けたらと思っています。
また、実際に施術を受けている時に今はどんな状態なのか、どんな施術をしているのかなど聞いていただいても構いません。
東洋医学に基づく施術は根本的な身体の改善に繋がる施術になります。
「根本的に身体を変えて、痛みや不調を何とかしたい!」
という方は是非一度当院にご相談ください。