血液の滞りのサインと身体への影響

よく肩こりや腰痛などの原因で血液の循環が悪いから、血流が悪いから痛くなります、というような文言を見たり、聞いたりすることはよくあると思いますが、そもそも血流が悪くなるとはどのような状態でなぜそのようになってしまうのか、というのは実は人によって様々でメカニズムも変わってきます。

血流が悪いってどんな状況?

川に例えてみるとわかりやすいかと思います。
流れている水が血液で、流れの速さが血流です。
血流が悪くなる原因は

流れの速さが遅くなる
流れる量が均等でなくなる

の二つです。

つまり、流れが遅かったり、流量が多過ぎるところや少な過ぎるところにできやすいということになります。
そして、血流が悪くなると、流れることなくその場で滞りを作り、血液が澱んだり、古く毒性のあるものへと変化してしまうことです。
これを東洋医学では「瘀血(オケツ)」と言います。

瘀血(オケツ)の原因とは?

先程述べたように川の流れが悪くなる原因と同じで、
・流れの速さが遅くなる
・流れる量が均等でなくなる
の二つです。これを東洋医学的に置き換えてみましょう。

・流れが遅くなるのは「気」が不足するから

これもよく耳にするかと思いますが、そもそも「気」なんで見えないし、何が「気」に当たるのかなどイメージもしずらいものですよね。
「気」とは大まかに身体を動かす動力源のようなもので、ここでは「血液を推し進める力」とイメージするとわかりやすいかもしれません。
ではこの「気」はどのようなことで少なくなってしまうのか。
それはストレスです。
ストレスにより、動力源が損なわれ、血流が悪くなり、瘀血を作る原因になってしまいます。

・臓器の「虚・実」ができると流れが均等でなくなる

これは聞き慣れない言葉かと思いますが、東洋医学では臓器やその働きの状態が
働く力が大きく、容量が多いことを「実」
働く力が少なく、容量が少ないことを「虚」
とそれぞれ表します。
つまり、「実」に関与するところでは血流が多く、「虚」に関与するとこでは血流が少ないということになります。
特に肝臓(東洋医学では「肝」)の虚実が瘀血の原因に深く関わってきます。
「肝」が「実」していれば、血液が多過ぎて、溢れたところで瘀血が作られる、
「肝」が「虚」していれば、血液が少なく、流れが遅くなり瘀血が作られる、
ということになります。

この虚・実が強くなり過ぎたり、弱くなり過ぎると瘀血がより作られやすくなります。
その原因となるのが
・アルコール
・薬の長期服用
・ストレス
・眼精疲労(目の疲労は肝に影響を及ぼします)
などがあります。

瘀血(オケツ)の反応が出るところ

以下が瘀血の反応点です。

瘀血は肝臓からの反応なので肝臓に関与する箇所に反応が出ます。
肝臓そのものの反応は右肋骨に沿った箇所、そこから左下腹部へクロスするように反応が出ます。
というのも、全身から左下腹部に集められた血液が静脈(これを門脈といいます)を通り、肝臓に集められるのですが、肝臓がこの集められた血液を処理することができずにいると、その場で停滞したり、逆流することで左下腹部やおへその周りに反応が出ます。
また、肝臓は機能していても、左下腹部の静脈に集まる血液量が多過ぎたり、静脈自体の容量が減ってしまっても同じような反応が出ることもあります。

肝臓はその他にも上半身の血液も回収します。
その際、左下腹部のように頭の上で集められ、右の後頭部を通って肝臓に回収されていきます。
腹部と同様に肝臓が集められた血液を処理できずにいると、上の図のような頭のてっぺん、右の後頭部、肝臓の真裏にあたる右の背中に反応が出ます。

瘀血は長い年月でできるものなので、慢性痛や慢性症状の原因にもなります。
しかし、先程述べたように、古く毒性のあるものなので、施術をして一気に瘀血を流してしまうと、身体が瘀血の処理に間に合わず、身体中に瘀血が巡ってしまい、身体に悪影響(だるくて起きれなくなるなどの軽い症状から、蕁麻疹が出る、高熱が出るなどの重い症状など)を及ぼします。
瘀血の症状を取るのはとても根気が大事になってきます。
早く症状を良くしたいところではありますが、時間がかかってしまうこともよくあります。
ですが、施術を行なっていくと症状だけでなく再発の防止や、早期回復、ご自身でも自覚のなかった症状(そういえば最近お腹の調子が良い、朝の起き上がりが楽、なんだか身体が軽く感じるetc…)も期待できます。
また、普段の生活で気をつけることや、どんな食生活が良いかなども早期の回復の近道になるので、施術とともに行なっていくとより効果的なものとなります。